Research

超分子ポリマーの精密合成:リビング超分子重合

超分子ポリマーとは,モノマー分子が水素結合などの可逆的な分子間相互作用で連結された新しいタイプのポリマーです。私たちは,超分子ポリマーを精密合成するための「リビング超分子重合法」を独自に開発し,様々なナノ構造体をつくりだすことに成功しています。

 

特殊構造ポリマーの合成と機能開拓

高分子化学では構造と物性に強い相関があります。デンドリマーやネットワークポリマーなどは授業でも習ったと思います。下の図では,当研究室で開発したポリチオフェンを紹介しています。導電性高分子であるポリチオフェン1本を絶縁体で被覆することによって,分子レベルの電気コードを合成しました。単分子ワイヤとしての利用や太陽電池のメカニズム解明などにつながっています。

 

分子スケールと巨視的スケールの連動

高分子のネットワークをうまく使って,分子のスケールと巨視的なスケールとを連動させたり,協調させたりすることができます。分子レベルの機能を手で操作できるようになれば,様々な応用につながると考えられます。分子マシンの動きを巨視的な動きに変換することも可能かもしれません。高分子化学的に非常にホットなトピックです。

 

高分子化学,超分子化学,コロイド化学の融合Coming soon!

高分子化学と超分子化学のコンセプトは「分子をつなぐ」という観点から通底しますが,これら2つの化学は異なる分野として発展してきました。100年前の巨大分子説と会合体説(当時のコロイド化学)との論争の名残によるものかもしれませんし,あるいは,石油化学工業の発展を支えた高分子化学と,基礎研究というイメージが強い超分子化学との隔たりが影響しているのかもしれません。

高分子化学,超分子化学,コロイド化学。当研究室では,これら3つの化学を発展的に融合し,新しい化学を切り拓いていきたいと思っています。